「オエーッ!」
急に苦しみだし大丈夫かなと心配していると、毛玉を吐いてしまった
こんな場面に遭遇したことのある飼い主さまがたくさんいらっしゃると思います。
なぜ、猫は毛玉を吐くのでしょうか?その理由と病気について解説します。
Contents
猫が吐く3つの理由
猫が吐く理由は大きく分けて3つあります。
それぞれの理由をわかりやすく紹介させて頂きます。
理由1: 毛繕いの時に飲み込んだ毛をまとめて吐く
猫がきれい好きであることは有名な話です。
しょっちゅう毛繕いをして被毛の汚れを放置しません。
猫の舌には糸状乳頭と呼ばれる棘があり、被毛を舐めるたびに抜けた毛がこの棘に絡まるように取れます。
この抜けた毛は口の中から吐き出さず、いったん飲み込み食塊と共に腸を通過し便に混じって排泄されます。
飲み込んだ被毛すべてが便に混じらず、一部は胃の中に残りボール状になります。これが吐き出され、「毛玉を吐く」と言われます。
理由2: 食道通過時間が長い
人は2本の足で立っているので地面に対して垂直に食道がありますが、犬や猫は4本の足で立っていますので地面に対して水平気味に食道があります。
人の食道の構造の方が食べたものを胃に送りやすく時間がかかりません。
しかし、ネコの場合は胃に食物を送りにくい体勢の上、食道はほぼ蠕動運動をしませんので食べたものが胃に到達するのに時間がかかり、何かの拍子に吐いてしまうことがあります。
理由3: 食べてはいけないものを吐き出す
中毒を起こしそうなものや、傷んでしまっているものなどを間違って食べてしまった場合、胃に長時間あると中毒物質を吸収してしまうので危険です。
そのため、嘔吐することで危険なものを吐き出す働きがあります。
うちの猫の毛玉を吐く頻度は多い?少ない?
毛玉をよく吐く猫と、ほとんど吐かない猫がいます。
毛玉を吐いても元気で食欲もあり、特に様子に変化がなければ問題がないと言いますが、やはり苦しそうに吐くのを見ていると心配です。
毛玉を吐く回数はどのくらいなら問題ないのかについて解説します。
短毛種に比べて長毛種の方が吐く回数は多いです。
短毛種の場合1年に2回以上毛玉を吐く猫は全体の1/4位です。
長毛種の場合1年に2回以上毛玉を吐く猫は全体の半数以上います。
週に1回毛玉を吐くのはやはり多いので、抜毛を飲み込まないようにブラッシングなどをまめに行うほうが良いでしょう。
短毛種の場合は換毛期に1~2回程度が標準的だと思います。
長毛種の場合は換毛期に2~3階が標準的でしょう。
毛玉が多い時は病気に注意しよう
毛玉を吐く時に次のような症状や傾向があるときには要注意です。
- 吐く回数が増え体重が減るとき
- 急に吐く回数が増えた時
毛球症
飲み込んだ毛が胃の内側に付着してしまい胃の働きが損なわれる状態を毛球症といいます。
症状が重くなると密に絡み合った毛がかなりの厚みになって胃の内壁に張り付き手術で取り除かなければならなくなることもあります。
毛を飲み込んでも便とともに排泄したり、毛玉を吐いていれば重症の毛球症になる確率は下がりますが、お手入れが好きな猫で吐こうとするが吐けない、お腹を触ると硬い、便が数珠のようにつながっているなどの症状は毛球症の疑いがあります。
心配な場合は消化管造影検査を行うとはっきりします。
毛球症は最悪の場合手術を行わないといけないので、できるだけ毛を飲み込ませないようにしてください。
ブラッシングして抜毛を飲み込ませないようにすることは毛球症予防に有効です。
また、毛球症予防用のサプリメントや毛球症予防用のキャットフードもありますので、吐く回数が多い場合は有効に利用してください。
消化管のトラブル
IBD(慢性胃腸炎)やリンパ腫などの慢性的な消化管の炎症がある場合は吐きやすくなります。
毛玉が原因というよりは小腸の炎症があり吐いてしまうときに毛が混じると考えるほうが良いでしょう。
猫が吐きやすい原因は毛玉だけでなく、IBDやリンパ腫といった治療が難しい病気が原因だというケースもあります。
吐く回数が多い場合は様子を見ないで早めに検査しましょう。
皮膚の痒み
ノミアレルギーやアトピー、その他の痒みを伴う皮膚炎がある場合は痒い部分を舐めたり、噛んだり、ひどい痒みの場合は毛をむしってしまう場合もあります。
皮膚の炎症がある猫で毛玉を吐く回数が多い場合は毛を舐めすぎたり噛んだりができないようにエリザベスカラーを付けたほうが良いでしょう。
まとめ
毛玉を吐くことは短毛種よりの長毛種の方が多く、その割合は約2倍です。
被毛のお手入れの際に舌にひっかかった毛を飲み込んでしまいますが、便に混じって排泄されなかった毛玉は胃の中でボール状になりやがて吐き出されます。
しかし、毛球を吐き出す原因は 毛を飲み込むだけでなく、IBDやリンパ腫といった治療が難しい病気の場合もあります。
吐く回数が多いと感じたら様子を見ないで動物病院で診察を受けましょう。