【獣医執筆】獣医が猫に牛乳を与えない本当の理由

猫 牛乳

猫に牛乳を与えても良いのか?
結論から言うと、猫に牛乳を与えることは勧められません。
与えたとしても、メリットよりもデメリットが目立ちます。
どんなデメリットがあるのか、こちらの記事で具体的に紹介しています。

愛猫に牛乳を与える前に、こちらの記事でデメリットを確認してください。

猫に牛乳を与えるデメリット

猫に牛乳を与える行為は、様々なデメリットに繋がります。
こちらでは具体的なデメリットとその根拠を紹介します。

デメリット1 「肥満につながる」

太った猫の画像
1つ目のデメリットは猫が太りやすくなる事です。
牛乳は脂質やたんぱく質を多く含んでいるため、通常のフードに加えてしまうとカロリーオーバーしやすいのです。
「猫は多少太っていたほうが可愛いし、少しくらいならいいや。牛乳を喜んで飲む姿も可愛いし、やめたらかわいそう」と考える飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
確かにぽっちゃりとした猫は一種独特の愛嬌があり、可愛く見えてしまいますよね。

しかしながら、肥満は健康に重大な悪影響を与えます。
肥満であることは糖尿病、脂肪肝(肝リピドーシス)、関節炎、尿路疾患(尿石症や膀胱炎)、歯周病、皮膚病など様々な病気の発症リスクを高めます。
特に糖尿病や脂肪肝は猫の寿命に大きな影響を与える疾患です。
さらに、将来的に手術が必要になってしまった場合の全身麻酔のリスクをも高めてしまいます。

適正体重を保つことが、猫とできるだけ長く一緒にいられる秘訣といえるでしょう。
ちなみに、猫の体重増加について過小評価してしまいがちな飼い主さんも一部にいらっしゃいます。
体重4kg の猫が5 kgに増えたと聞いて、どう考えるでしょうか。
「1kg増えたくらいならば、そんなにたいしたことではないのでは?」と考えるのは危険です。

人間に例えると、体重 60kg の人が75kg に増えたようなものです。
体重増加はパーセンテージで考えましょう。
牛乳を与えると猫は簡単に太ってしまいます。
肥満を防止するために、牛乳は与えないほうがよいでしょう。

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デメリット2 「将来、病気の治療をしづらくなる」

病院で治療を受ける猫の画像
キャットフードと一緒に牛乳を飲んでいる猫は、病気になってしまった際の食事療法を行いづらくなります。
牛乳を与える行為は食事療法の効果を弱める場合が多いため、治療開始前に牛乳をやめなければなりません。
しかし普段から牛乳と一緒の食事に慣れきっている猫は、療法食単体では食べてくれないことが多いのです。
食事療法が重要となる病気の代表として「慢性腎臓病」があります。

腎臓は体の中の老廃物を尿として体外に排泄する機能を持っています。
慢性腎臓病を発症すると、その機能が徐々に低下し、衰弱していってしまいます。
一生のうちでこの病気を発症する猫は約3頭に1頭と多く、5歳以上の猫の死因第一位とされます。
この病気の治療において、食事療法は最も重要です。

具体的には、食事中に含まれるリンの量を制限することが治療となります。
リンを制限した療法食を与えた場合、与えなかった場合と比べ生存期間が平均で約一年間長くなるとされます。
牛乳が一緒でないとフードを食べてくれない猫でこの食事療法を行うことは困難です。
牛乳にはリンが豊富に含まれていますので、せっかく療法食でリンを制限しても無意味となるのです。

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デメリット3 「体調に悪影響を及ぼす可能性がある」

体調が悪そうな猫
人が牛乳でお腹を壊してしまうことがあるように、猫でも同様の事が起こります。
「乳糖不耐症」と呼ばれる現象で、その名の通り牛乳に含まれる乳糖という成分が原因です。
特にしばらく牛乳から遠ざかっていたけれど、途中からまた与え始めた猫で起こることが多いです。

さらに、乳製品に対するアレルギーを持つ猫ちゃんもいます。
猫は、長く口にし続けている食べ物に対してアレルギーの発症リスクが高まるとされています。
つまりは牛乳を与え続けていると、乳製品に対するアレルギーを起こしやすくなると考えられます。
現時点では平気な猫も、将来的には消化器症状や皮膚症状を起こしてしまうかもしれません。

もし猫ちゃんが牛乳を飲んで吐き気を催した時は、こちらの記事も参考にして下さい。

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キャットフードは優れている為、栄養補助の必要は無し

キャットフードを見つめる猫の画像
「そうは言っても、キャットフードだけだと栄養が不安…。
人では牛乳は健康に良いし、猫も牛乳を与えていたほうが安心」と考える飼い主さんもいると思います。
近年のキャットフードは「総合栄養食」と呼ばれ、栄養学的に徹底的に研究された上で開発されているものがほとんどです。
牛乳などで栄養を補助する必要はありません。
牛乳を与えると、理想的に調整された栄養バランスがかえって崩れてしまい、肥満などのトラブルの原因となります。

「総合栄養食」とうたっているフードであれば、どれを選んでも基本的に大きな差はないでしょう。
避妊去勢をしている猫は、専用のフードがオススメです。
※避妊去勢した猫は、運動量の低下および基礎代謝の低下によって、一日に必要なカロリー量が15%から20%程度少なくなるとされています。

しかし通常のフードでカロリーを抑えようとすると与える量を減らす他になく、猫が空腹感を覚えてしまうことがあります。
したがって、カロリーを抑えつつも、ちゃんと満腹感を得られるようにカサ増しされた専用フードがおすすめです。
避妊去勢した猫専用のフードは動物病院で購入することができます。
獣医師に相談してみましょう。

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牛乳で水分補給させることはデメリットのほうが大きい

罰マークがついた牛乳の画像
普段あまり水を飲まないので、水分補給をさせたいという理由で牛乳を与えている飼い主さん。
特に尿石症にかかっている、またはかかったことがある猫では飲水量が少ないと心配ですよね。
しかし、牛乳による水分補給はデメリットが大きいです。
牛乳のみで必要な水分を補おうとすると、ほぼ確実に肥満になります。

先述のように肥満は尿石症の発症リスクを高めます。
また牛乳を口にすることで、尿石症の治療に使う療法食の効果を弱めることにもなるでしょう。
牛乳を与える以外の方法で、水分摂取量を増やす工夫をするほうが無難です。

具体的には

  • 常に流水を飲めるような場所をつくる(専用の商品が市販されています)
  • 水の器を陶器に変えてみる
  • 水飲み場の個数を増やす
  • ドライフードからウェットフードに変える

等といった工夫ができます。

牛乳を飲んで体調を崩した時の対処法

牛乳を飲むことによって引き起こされる不調のほとんどは下痢軟便に代表される消化器症状です。
その場合には、牛乳を飲ませない事が治療となります。
軽症であることがほとんどですので、牛乳をやめるだけで軽快することが多いかと思います。
ただし、あまりに症状が強い(食欲不振、水のような下痢、一日に何回も吐くなど)ようであれば、牛乳以外の原因を探りつつ対症療法を行うべきですので動物病院へ連れていきましょう。

牛乳が原因の体調不良で動物病院へ行く際の準備

動物病院では、以下のポイントを獣医さんに伝えましょう。

  • 症状がいつからか
  • 牛乳を飲ませたタイミングはいつか
  • どれくらいの頻度・期間か
  • 食欲元気は有るのか

牛乳が原因と強く疑われる場合には特別な検査はせず、経過観察とするか、下痢や吐き戻しに対する対症療法のみを行うことが多いです。
治療を行う場合には、薬代として3,000円ほどを見積もっておけばよいでしょう。

「食欲が全くない」等、重症である場合は検査を行います。
※ちなみに、牛乳が原因で重症化することはほとんどありません。
「牛乳が原因ではなく、実は何かもっと重い病気が原因ではないのか」を確かめるために検査が行われます。

行われる検査の候補としては

  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 超音波検査

の3つがあります。

それぞれ3,000円から4,000円ほどの検査費が必要になります。
症状に下痢を伴う場合には糞便検査も行います。
糞便検査は1,000円ほどの場合が多いでしょう。
重症度によって、一部の検査だけ行うか、全ての検査を行うかを獣医師が判断します。

まとめ

猫が牛乳を喜んで飲んでいる姿は確かに可愛いものです。
また長いあいだ牛乳を与えていた場合、急にやめてしまってはストレスになるのではと心配にもなるでしょう。
しかし、牛乳を与えることは健康に大きな悪影響を与えます。
猫ができるだけ長く健康を保てるよう、まずは少しずつ飲ませる量を減らしていくことから始めてみてはいかがでしょうか。

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