猫エイズとは、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に感染することで引き起こされる諸症状を表します。
名前を短くして「猫エイズ」とも呼ばれます。
猫免疫不全ウィルス(以後 FIV)は白血球のT細胞(細胞性免疫)を攻撃し消失させます。
細胞の免疫力が無くなると、猫の体内に侵入してきた病原菌やウィルスなどへの防御ができなくなり、免疫不全の状態になります。
猫エイズはヒトHIVと同じレトロウィルスという種類ですが、ネコ(ネコ属)だけに感染するウィルスなので人や犬に感染することはありません。
国内の猫エイズ感染率は、約20%です。
発症した場合のエイズ症状による死亡率は、ほぼ100%…ですが、あきらめないことが大切です。
1986年に初めて確認され、家猫の感染率は約12%といわれています。
猫エイズは、感染したからといってすぐに発症する病気ではありません。
猫エイズに感染したとしても、発症することなく一生涯を終える猫も沢山います。
ストレスや他の感染症へのリスクを減らし、症状の軽いうちに適切な対処を行うことで猫と長く一緒に暮らすことが出来ます。
Contents
猫エイズの感染経路
猫エイズの感染経路は、感染した猫との喧嘩や交尾の際に咬まれて感染することがほとんどです。
空気感染はしません。
感染猫の唾液に含まれている猫エイズウィルスが傷口に侵入することで感染します。
猫エイズに感染した猫とのコミュニケーションの中でも、唾液に触れる機会があれば感染することがあります。
- 血液(咬まれる)
- 唾液(舐める)
- 粘膜(交尾)
簡単にまとめると、これら3つの感染経路があります。
直接的な接触が無い限り、飼い猫が猫エイズに感染する可能性は低いです。
母子感染することはごくまれ
母猫が猫エイズウィルスに感染している場合、産道や胎盤から子猫へも感染する可能性があります。
しかし、猫エイズに感染した親猫から生まれた子猫の大半は死産か生後数か月以内に死んでしまいます。
猫エイズウィルスに感染したまま成長する事もありますが、確率としては非常に稀だと言われています。
子猫の検査結果は「陽性」が「陰性」に変わることも
生後しばらくの子猫の体内には、母猫からの移行抗体が残っていることがあります。
「猫エイズウィルス抗体」の検査では「陽性」の結果が出てしまいます。
動物病院の猫エイズウィルスの検査は「ウィルスそのもの」の有無を判定するのではなく、猫エイズウィルスに対して作られた「抗体」の有無を判定するのが一般的です。
その為、子猫の体内にある「母猫からの移行抗体」が検査結果に影響してしまいます。
もし、「陽性」結果が出てしまっても、生後約半年から8カ月以降に再検査を行いましょう。
母猫からの移行抗体が落ち着くことで正しい検査結果が現れ「陽性」から「陰性」に代わることも稀ではありません。
猫エイズの症状
猫エイズは感染しても発症までに数年かかることが多い病気です。
冒頭でお話したように、死ぬまで発症しないことも珍しくありません。
猫エイズウィルスに感染したからといってすぐに発症することは少なく、一般的には数年単位の潜伏期間を経て発症します。
猫エイズは感染の進行と免疫不全によって発症する症状から5段階に分けられています。
1.急性期(1か月から1年間)
猫エイズの急性期には風邪、下痢など軽い症状、リンパ節の腫れ,などの諸症状が現れます。
元気がない、微熱がしばらく続くようなら要注意。
2.無症状キャリア期(2~5年間、10年間以上続くことも)
無症状キャリア期は、急性期の症状がおさまり無症状のまま感染の進行が進む時期です。
風邪や下痢が治ったと思い、感染を知らないままに過ごしてしまうことも…。
3.持続性リンパ節腫大期
持続性リンパ節腫大期には全身のリンパ節の腫大が症状として見られます。
リンパ節が腫大しない感染猫も居ます。
4.エイズ関連症候群期
エイズ関連症候群期に突入すると、免疫の異常が原因で様々な症状が現われます。
外気に晒されやすい口内に、「口内カンジダ」などの感染症状が現れやすい傾向にあります。
口内カンジダ以外にも口内炎などの症状が出やすい傾向にあります。
免疫力,体力の低下が顕著に表れる時期です。
- 歯肉や歯の周囲組織の炎症
- 口内カンジダなどの感染症
- 口臭
- よだれ
- 目やに、鼻水
- 皮膚炎
- 消化不全(下痢や嘔吐)
- ケガが治りにくい
これらの症状が現れてから、初めて猫エイズに感染していると疑い始める飼い主さんが増えてきます。
5.エイズ発症期
エイズ発症期には、本格的な免疫不全症候群が発症、進行します。
- 激しい下痢
- 痩せ続ける
- 貧血、白血球減少など
- 神経症状
- 免疫不全による悪性腫瘍
- その他感染症(日和見感染など)
ちょっとした怪我も治りにくく、生命量がどんどん弱くなってしまう猫エイズの本質症状が現れます。
猫エイズの治療方法

猫エイズウィルスを全て駆除するという根本的な治療は困難で、ウィルスを排除することは出来ません。
抗ウィルス薬の臨床応用は難しく、猫エイズウィルスを体内から排除するといった根本的な治療は現在ありません。
しかし、発症に至るまでの軽い症状の緩和や治療は可能です。
猫ちゃんと相性の良い栄養たっぷりのキャットフードを与えてください。
栄養の土台である食事の質は免疫力に直結します。
当サイトでお勧めしているキャットフードを是非参考にしてください。
食事以外にも、ストレスを減らすことも大切です。
お留守番ばかりさせず、遊ぶ時間を増やしたり飼い主さんとの触れ合う時間を増やすことでストレスを減らすことが出来ます。
猫ちゃんの免疫力を維持、向上させることで、猫エイズウィルスの発症リスクを減らすことが出来ます。
猫エイズの症状の軽いうちに治療をする
軽度のエイズウィルスの治療法として動物病院で実践されるのが、以下の薬品を使った投薬治療になります。
- 抗炎症剤
- ステロイド剤
- 抗生物質
- 抗真菌剤
これらの中でも、抗生物質による治療は他の猫への感染予防にも繋がるので多頭買いの飼い主さんには是非実践して欲しいです。
獣医さんへ「多頭買い」だという事を伝えれば、二次感染予防として抗生物質を処方してくれます。
他の感染症を防ぐ
猫エイズに感染すると他のウィルスに感染する可能性が高くなります(体を守る免疫が弱くなるため)
色んなウィルスがありますが中でも特に、「猫白血病ウィルス」は感染力が強くさらなる免疫低下を引き起こし、重篤になる可能性があります。
猫白血病はワクチンの接種で予防することが出来るので、必ず予防接種を受けておきましょう。
猫エイズの予防・対策
猫エイズから大切な愛猫を守るために出来ることは、感染猫と接触させない事です。
シンプルに言えば「感染猫に咬まれない、舐められない、交尾させない」ことです。
- 室内猫として飼育する
- 新しく一緒に飼う猫の検査をする
- 外に出ないように躾をする
これら3つのポイントを徹底することで、猫エイズの感染を予防することが出来ます。
万一、感染のリスクを負ってしまった場合(怪我をして帰って来た時,等)は1~2カ月後に検査をしましょう。
予防接種もありますが…一般的ではありません。
2008年から猫エイズウィルスの不活化ワクチンが日本でも利用可能になりました。
しかし、全タイプの猫エイズウィルスに効果があると言い難く、有効なワクチンとしての認識は低いのが現状です。
またワクチンを接種すると、一般的な血液検査(抗体検査)では血中のワクチンが反応し、「陽性」結果がでてしまい感染の判定がしづらくなります。
猫エイズまとめ
今は猫エイズに感染していない猫ちゃんにも、感染の危険性は潜んでいます。
何気なく生活している中にも、猫ちゃんの体調管理に気を配り、定期的に検査することが大切です。
常日頃から、猫ちゃんの免疫力を向上させることを意識してサプリメントや食事を工夫することで猫エイズに負けない強い猫になります。
癌にも負けない、猫エイズにも負けない強い免疫力を育てるサプリメントを紹介しているので、猫の為にも1つ購入しておきましょう。