こちらでは、猫ちゃんが嘔吐してしまった時の対処法を紹介しています。
大切な猫ちゃんを守る為に、正しい対処法を行いましょう。
Contents
何を吐いたか確認する
猫が吐いているのを見つけてまず行うべきことは、吐いたものをよく観察することです。
こちらでは観察すべきポイントを以下にご紹介します。
【内容物】 液体のみか、液体以外も含まれているなら消化物か、未消化物か血液は混ざっていないか
【異物の有無】 毛玉、植物やおもちゃなど
【吐しゃ物の性状】 色(透明、赤褐色、黄色など)、形(水たまり状、噴出状、筒状など)
【吐く前の投薬】 特に初めて飲ませた薬があった場合
嘔吐の様子を観察する
もし猫が吐いているまさにその場面を目撃した場合には、以下の点についても確認しましょう。
動物病院へ連れて行った際にこれらの情報があると、治療を選択する上で非常に役に立ちます。
- 嘔吐のタイミング:食後直ぐか?それとも30分以上経過してからか?
- 嘔吐の前兆の有無:流延や落ち着かない様子などはあったか
- 嘔吐の仕草:実際に吐き出す前に何度かえずく仕草はあったか、腹部が持ち上がるような動きはあったか
何を食べたか、何を飲んでいたか思い出す
優先して確認するべきことは、食べ物以外のものを口にしていないかどうかです。
食べ物以外が原因の嘔吐は緊急性が高く、迅速な対応が必要となります。
植物、薬物(特に人用のもの)、化学薬品などの中毒性物質や、おもちゃなどの異物を飲みこんだ形跡がないかよく確認しましょう。
その次に、ふだんと違うフードやおやつ、人の食べ物を食べていなかったかということを家族全員に確認しましょう。
緊急性の高い嘔吐の特徴
症状が単回の嘔吐だけであった場合、飼い主さんがその症状だけを観察して緊急性の有無を判断するのは困難です。
最も重要なのは中毒性物質や異物を飲みこんでいないかという点です。
植物は猫にとって有害なものが多いにも関わらず、誤食してしまう頻度の多い代表的な中毒性物質です。
また人用の薬(特に解熱鎮痛剤)を猫が飲んでしまうと簡単に中毒症状を起こし、危険な状態となります。
おもちゃやビニールなどで遊んでいるうちに飲みこんだ場合は、腸閉塞を起こす危険性があります。
中毒性物質や異物が原因の嘔吐は非常に緊急性が高く、放置すると命に関わる場合が多いです。
これらを飲みこんだことに気づいた時点で即座に動物病院へ連れて行きましょう。
中毒性物質や異物を飲みこんだ可能性が低い場合には、食欲元気の有無や、意識の状態で緊急性の目安をつけます。
吐いた後でもケロッとしていて、直ぐにごはんを食べ始めるようなら少し様子を見てもよいでしょう。
嘔吐のしかたを観察することでも、緊急性についてある程度の目安を得ることができます。
水鉄砲のような噴出状の嘔吐をしている場合や、短時間に何度も吐いて止まらない、水を飲んでも吐いてしまう場合には早めに動物病院を受診しましょう。
吐いた後の猫の挙動を観察しよう
少し様子をみようと判断した場合には、吐いた後の猫の様子をよく観察して動物病院に連れていくかどうか決めましょう。
以下に、観察すべき主なポイントをご紹介します。
- 全身状態:元気食欲、意識状態、腹痛(腹部を触って嫌がらないか)
- 排尿・排便の様子:おしっこは出ているか、下痢はしていないか
- 嘔吐は続くかどうか
元気も食欲もあり、単発の嘔吐でおさまっている場合にはそのまま経過観察を続けてもよいでしょう。
逆に少しでも気になる部分があるようであれば、動物病院への受診をおすすめします。
動物病院でどのような治療が受けられるか
治療は大きくわけて、「対症療法」と「原因に対する治療」の2つにわかれます。
対症療法とは、「症状に対する治療」であり、原因を治すためではなく症状(=嘔吐)を抑えるための治療です。
誤食などの確実な原因を認めず、かつ軽症と判断した場合には対症療法を行うことが多いです。
対症療法で症状を抑えつつ、自然回復を待ちます。
一方、重症と判断した場合には検査で原因を探った上で、その原因に合わせた治療を行います。
まず行う検査としては、血液検査、X線検査、超音波検査が候補となります。
検査費用はそれぞれ4,000円から5,000円ほどを見積もるとよいでしょう。
治療の種類
対症療法では投薬によって嘔吐を抑えつつ、脱水や血中の電解質の乱れがあれば点滴を行います。
このときに使う薬は、制酸剤(胃酸の分泌を抑える薬)や消化管運動亢進薬(胃や腸の運動を助ける薬)、中枢性制吐薬(脳に働いて嘔吐反射を直接抑える薬)があります。
最初の段階では制酸剤や消化管運動亢進薬を使うことが多いでしょう。薬は、最初だけ注射で投与する場合が多いです。
飲み薬は、飲ませてから薬が吸収され効き始めるまでに少し時間がかかり。薬が吸収される前にまた吐いてしまっては効果が期待出来ない理由から注射が薦められます。
問診あるいは検査によって嘔吐の原因をつかむことができたならば、その原因にあわせた治療を行います。
中毒性物質の誤食が確認された場合には、催吐処置(薬であえて嘔吐を引き起こす処置)を行います。それに併せて、入院点滴を行います。
おもちゃなどの異物が原因の場合、催吐処置を行うこともありますが、それが難しければ内視鏡や開腹手術による異物摘出を行います。
膵炎などの内科的疾患が原因である場合には、対症療法と点滴を組み合わせつつ、原因疾患に対する治療を行っていく場合が多いでしょう。
治療費
対症療法を行った場合には、注射1本で1,000円から2,000円の場合が多いかと思います。
点滴は入院点滴か、日帰りの皮下点滴かで異なってきます。
入院の場合には、入院費プラス点滴費で1日4,000円から5,000円ほどを考えましょう。
皮下点滴の場合には一回2,000円から3,000円ほどが目安となります。
催吐処置を行った場合には、5,000円前後の場合が多いかと思います。
内視鏡や開腹手術を行った場合には、費用も高額となります。
病院によって幅のある部分ではありますが、開腹手術であれば10万円ほどを考えておきましょう。
内視鏡による摘出はそれよりも安い場合がほとんどですが、それでも数万円単位の費用は必要になります。
お薬代
対症療法は数日間行います。
受診当日は注射で投薬したとしても、自宅での投薬は飲み薬に頼らざるをえません。
嘔吐に対して用いる飲み薬は比較的安価なものが多く、体重5kg の猫であれば5日間で2,000円から3,000円程度のことが多いでしょう。
獣医さんからのメッセージ
嘔吐を示す猫に対して迅速かつ的確な治療を行うためには、問診で得られる情報、つまりは飼い主さまから得られる情報が非常に大切です。
特に初期対応を考える上では、飼い主さまが持つ情報が検査で得られる情報以上に重要となるのが飼い主さまの「冷静さ」です。
猫が吐いているのを見つけたときには、心配でどうしても焦ってしまうこともあるかと思います。
動物病院へ連れて行ったとして、何をどう伝えるべきなのか迷ってしまうこともあるでしょう。
今回ご紹介した内容が、落ち着いて状況を整理するための一助となりましたら幸いです。